九段下駅から徒歩1分
月~土実施

ご予約はこちら

カウンセリングとは

心理カウンセリングとは

カウンセリングとは、対話を通して気持ちや感情、思考を穏やかにし、それによって実社会での生活を豊かなものにしていく時間の総称です。
一言で「カウンセリング」といっても、その形式や実施者は多岐に渡ります。

実施者で区分した場合、メンタルケアに精通した心理士や療法家の行う心理カウンセリングと、その他のカウンセリングがあります。
その他のカウンセリングには、美容整形や化粧品販売の相談として行われるカウンセリング、転職やキャリアアップの時期を相談するキャリアカウンセリング、保険の相談や不動産購入の際に行われるカウンセリングなどが含まれます。

心理カウンセリングには、主に言語を介して行われるものと、非言語中心に行われるものがあります。
言語を用いるものには特定の心理療法の形式に沿って行われるものとそうでないものに分かれますが、非言語を用いるものはそのほとんどが何らかの心理療法に基づいており、芸術療法(アートセラピー)やコラージュ療法、遊戯療法(プレイセラピー)や動作法などが含まれます。

その他、心理カウンセリングには1対1で行うものや複数人で行うカップルセラピーや家族療法、集団で行うグループセラピーなどがあります。
当オフィスでは1対1でのカウンセリングにこだわり、またリモートではなく対面でのカウンセリングを提供しています。

カウンセリングの種類

カウンセリングにはいくつかの種類があります。
相談者の目的や精神症状の程度によってどのカウンセリングが適しているか決定されます。

個人カウンセリング

個室で一対一で行われる一般的なカウンセリングです。
比較的病態の重い人でも行えますが、考えをまとめられないほど状態が悪かったり一対一の場面に過度に緊張したりする相談者などには実施できない場合もあります。

カップルカウンセリング

夫婦や交際相手との関係で悩みを持つ場合に三者間で行われるカウンセリングです。
カウンセラーがファシリテーション(円滑な議事進行)を行うものから、双方の深層に隠された欲求を理解したり共有したりするものまで、実施のレベルも様々に異なります。

個別カウンセリングを行えるカウンセラーであっても、カップルカウンセリングやこれ以降のカウンセリングは行えないカウンセラーもいます。

家族カウンセリング

何人かの家族成員とカウンセラーとで行われるカウンセリングです。
ほとんどの場合、家族間でのコミュニケーション不全や、家族の問題を一身に背負った相談者の症状解消を目的に実施されます。

グループカウンセリング

複数の相談者を一同に集め、そこで困り事について話し合うカウンセリングです。
一対一のカウンセリングを他の参加者が取り囲んで実施されるものや、カウンセラーを含めた参加者全員が円座を組んで話し合うものなど、流派によっていくつかの形態があります。

電話カウンセリング

電話を用いて行われる一対一のカウンセリングです。
主に緊急性が高い場合や外出が困難な場合、遠方にいるときに問題が生じた場合などに実施されます。

メールカウンセリング

メールやLINE、チャットなどのテキストメッセージのやりとりによって行われるカウンセリングです。
やりとりの回数や文字数を制限しているところもありますが、最近では24時間365日実施できるところもあり、手軽に始められるというメリットが魅力です。

対面のカウンセリングのように専門的な心理療法を実施することはできず、あくまで「心の問題の専門家に話を聴いてもらう・アドバイスをもらう」という効果を狙ったものと割り切って使用するのが良いでしょう。

遠隔カウンセリング

リモートミーティングシステムを用いて行われるカウンセリングです。
電話カウンセリングとは異なり表情や態度が確認できること、個室で行われるカウンセリングより相談者の生活環境を垣間見れるというメリットもあることから、今後行われる機会が増加していくと考えられます。

カウンセリングの目的

心理カウンセリングの目的は大きく分けて3つあります。

①感情の安定

相談に見える方は過酷な状況におかれていることが多く、精神的に不安定になっています。
カウンセリングは傾聴的な話し方や態度によって気持ちを落ち着かせる下地を作っていきます。

もちろん、話をするだけでは気持ちが落ち着かないこともあります。
話ができないほど落ち込んでいたり、ショッキングな出来事に遭遇して口が利けないこともあります。

しかし、話したくなったときに耳を傾ける姿勢、相談者に対して誠実に向き合い、共感的に寄り添わなければ相談者の気持ちは落ち着きません。
気持ちを落ち着けるだけでは主観的な感覚が改善するだけですが、それなしで状況や人間関係を改善することもまた困難です。

「カウンセリングは愚痴聞きに過ぎない」という意見に反論する心理士もいますが、気持ちを落ち着かせるために愚痴を聞くことにも一定の利があるように思われます。

②困りごとの解決

相談者の抱えている問題を解決することも、カウンセリングの目的の一つです。
それは個人的な感情や感覚のことではなく、家族間の人間関係や業務上の課題といった外界の問題のことです。

カウンセリングに持ち込まれる困り事の例としては、職場で受けたパワハラや過重労働の苦痛、両親や兄弟姉妹との不仲、学校でのいじめや不登校などです。
これらは個人の気分の安定だけでは解決とはならず、事態が解決したときに初めて解決となります。

カウンセリングは、こういった問題解決の手助けになります。

③生活への満足度の向上

いま直面している困り事がなくても、カウンセリングを行う場合があります。
その目的は、現在の生活でできていることを確認したり、これまでの人生の肯定的な側面を振り返ったりすることで満足感や達成感を高めるためです。

話を否定することなく傾聴するため自己肯定感が高まったり、誠実で真摯な態度で話を聴いてもらうことで自尊心が回復したりします。
対話の中で気づきを得ることもありますので、健康な方が定期的に受けているケースもあります。

カウンセリングが必要とされる状況

医療機関で心理カウンセリングが適用される状況はいくつかあります。
ここでは、「うつ病」「不安障害」「パニック障害」「強迫性障害」「PTSD」といった疾患の際にカウンセリングが必要となる条件を挙げます。

薬による治療ができない、もしくは希望しない
初診の抗うつ薬の処方率_20210821

日本の内科・精神科・心療内科に受診した場合、90%の確率で薬の処方が行われることが報告されています※1
しかし、基礎疾患を持っていたり、そもそも服薬に否定的で決められた通りの服薬が期待できなかったりするときには、まずカウンセリングによる介入や心理教育から行われることがあります。

気持ちを落ち着かせて考えを整理する

落ち込みが激しく意気消沈していたり動揺していたりするときには、その他の介入より先にカウンセリングが適用される場合があります。
医療機関だけでなく、様々な施設や機会に求められる心理カウンセリングの機能です。

精神疾患の治療過程では、最初だけでなくその途中にも気持ちが不安定になることがあります。
少し活動性が増してきて行動した結果失敗してしまったり、社会復帰したい気持ちが強くなって焦ったりしてしまう場合です。

減薬を始めて不安定になるケースもあります。
そんな、治療序盤ではなく中盤以降にも、カウンセリングは適用されます。

非医療からの手助けを必要とする

過去に医療機関にかかって嫌な思いをしたり、医師から言われただけでは言われたことを守ったり言われた通りにやるモチベーションが低かったりする人は少なからずいます。
これは「個別化医療」と呼ばれる領域であり、個別化医療に取り組むことは厳密には非医療に当たるため、医療機関にかかってもこのような個別性は無視されていることが多いのです。

心理カウンセリングはこのような非医療の側面を補填するように発展してきた歴史があるので、いわゆる医者嫌いの人、服薬抵抗のある人、動機づけの必要な人は心理カウンセリングが適している場合があります。

性格や物事の捉え方に課題がある

 人が生きてきた中で形成された感情や思考、行動の偏り(傾向)のことを、精神医学では「性格」と言います。
また、物事の見方や捉え方の偏りのことを、心理学では「認知」と呼びます。

性格や認知は薬を飲んだからといって変わるとは限りませんし、それらは一時的に変化しても時間が経つとまた元に戻ってしまいます。
心理カウンセリングはじっくりと時間をかけながら性格や認知、もしくは価値観の変容をサポートしていきますので、時間が経っても元に戻りにくく、また相談者本人の納得感も高い状態で性格や価値観を変えることができます。

精神疾患の治療において、薬物療法より心理療法の方が再発しづらいという結果も、このような心理カウンセリングの特徴を端的に示しているものと思われます。

カウンセリングの効果

うつ病はカウンセリングを併用した方が再発しづらい

心理カウンセリングの主な効果はうつ気分の改善不安・恐怖の克服です。
うつ気分の改善については抗うつ薬と同程度であるという研究結果がいくつか報告されており、カウンセリングを受けた人たちの方が再発しづらかったという報告もあります※2

カウンセリングで取り扱う不安感や恐怖心は様々です。
主な症状としては、トラウマ記憶によるフラッシュバック・対人恐怖・特定の状況に対する恐怖・将来に対する不安などです。

その他、心理カウンセリングの副次的な効果としては以下のようなものもあります。

身体症状が改善する

症状について相談し、適切な知識や指導を得られれば、その症状を改善することができます。
一例としては、睡眠障害・過緊張・生活習慣病などです。

心理カウンセリングの基本的な態度である傾聴的姿勢や肯定的な受容を体験することで精神的な不安や緊張が解け、睡眠の質が改善したり緊張からくる頭痛が緩和したりするという側面もあります。

自己肯定感が向上する

心理カウンセリングによって自分の新たな一面を発見したり、自分の中に問題解決に繋がる力が眠っていたことに気づいたりすることで、自己肯定感が高まっていきます
「ネガティブなことばかり考えていたけど、そんな悪いことばかりではないかもしれない」「やってもいないことに何でこれまでおびえていたんだろう」といった考えが浮かぶようになり、自分で自分を苦しめていた悪循環から脱せるようになるのです。

自尊心が高まる

カウンセラーから肯定的で支持的な反応を得られることで、自尊心が回復したり高まったりする場合もあります。
「自分にはこんなこともできたんだ」「自分って意外とツイてるのかも」といった前向きな気持ちが生まれ、自信がついていくのです。

カウンセリングの内容

ここではもう少し詳しく、カウンセリングの中でどのようなことが話されているかをご紹介します。

カウンセリングに気持ちを落ち着かせる効果があるとしても、開口一番のたった一言で精神を安定化させるわけではありません(そんな一言があると信じているとしたら、その魔術的思考こそ不安定な精神状態の表れです)
効果的な言葉の繰り返しで徐々に気持ちを落ち着かせていくのが心理カウンセリングの真髄であり、多くのカウンセラーは物をあげたり相手に触ったりすることなく、言葉だけで気持ちを落ち着かせられることに誇りとプライドを持って働いています。

カウンセリングの序盤は近況報告や起こった変化などの共有を行います。
たとえ前回まで心の深層や重要な過去の話にまで言及していたとしても、セッションの最初から前回の続きの話をすることはまずありません。

むしろ、困難の根幹に関わるような話をした後ほど、日常生活の水準が低下したり症状が再燃したりして困っている場合がありますので、前回のセッションから今回までの間にあったことを訊いておくことは重要です。

ほとんどの心理カウンセリングは実施時間が限られていますので、今回のセッションで何をお題(アジェンダ)として話し合うか、相談者との間であらかじめ取り決めておくことが多いです。
前回からの続きの話題を話すこともあれば、相談者が緊急だと判断した話題を先に話すこともありますので、それが明示されないまま何となく話が進んでしまったり、セッション終盤に急に緊急性の高い話が出てきたりすることを防ぐ狙いもあります。

セッション中盤はそれぞれの心理療法やセラピーによって実施することが異なりますが、終盤が近づくにつれて今後の実生活で何をするか、次回までにどのようなことに取り組むかといったホームワークを設定します。
心理カウンセリングはアドバイスを受ける時間ではありませんのでホームワークがうまくいくこともあればいかないこともありますが、うまくいかなかった場合にはそれがうまくいかないということが分かったことが有意義ですので、どんな小さなことでも次回までの過ごし方に言及することが多いです。

カウンセリングと心理療法(セラピー)の違い

カウンセリングとは困り事の相談を受ける行為全般を指すのに対して、心理療法とは特定の困り事に対して決まった形式で行われる、専門性の高い相談業務です。
医療行為で言えば、カウンセリングは診察(どんな科でも行う)に相当し、心理療法はそれぞれの手術(血管形成術や関節の置換術など)に相当します。

カウンセリングも心理療法も、傾聴・共感・誠意ある態度で行われるものであるところは共通しています。
それらがないまま相談者を否定したりアドバイスしたり指導(コーチング)したりするものは、厳密にはカウンセリングや心理療法ではありません。

カウンセリングの料金

保険適用のカウンセリング

日本ではカウンセリングの訓練を受けた医師もしくは看護師が認知行動療法を行う場合に限り、健康保険適用でカウンセリングを受けることができます。
それ以外の場合は、心理カウンセリングは保険適用外の料金になります。

医療機関で心理カウンセリングが必要と判断された場合でも、上記の場合を除いて心理カウンセリングは保険適用とはなりません。
公認心理師や臨床心理士、認定カウンセラーのカウンセリングを受ける場合の料金は、およそ8,000円〜10,000円のところが多いようです。

カウンセリング料金は施設によって異なりますので、面談を検討されている場合にはその医療機関や施設に直接ご確認いただくのが良いでしょう。

カウンセリングを行うための資格

日本で心理カウンセリングを行うための必須資格というものは存在していません
ただ、様々な機関や企業がカリキュラムを設け、心理カウンセリングに関する専門知識や実習を修了した者にそれぞれの資格を認定しています。ここでは、その一部を紹介します。

カウンセリング資格の種類

臨床心理士

内閣府が認定している、公益財団法人臨床心理士資格認定協会による資格です。
1988年から開設され、現在の日本において最も知名度と信頼性の高い心理士資格です。

臨床心理士試験を受けるためには臨床心理士育成に関する指定大学院を修了するか、専門職大学院を修了することが基本的な条件となります。
カリキュラムには専門知識だけでなく心理面談の実習や臨床実習も含まれていることから、心の問題に携わる職業に就く要件になっていることも多いです。

公認心理師

2017年制定の公認心理師法に基づいて設立された、日本初の心理職の国家資格です。
臨床心理士と異なり指定大学院の修了を必要としませんが、大学で必要科目を修める等、専門知識と実務経験がなければ受験資格を得られません。

カリキュラム上では心理面談(カウンセリング)や心理検査のトレーニングを受けなくても資格を取ることはできるため医療機関での雇用はまだあまり進んでいませんが、その他の分野では採用条件になっているところも増えており、今後の発展に期待ができる資格です。

認定カウンセラー

1986年から一般社団法人日本カウンセリング学会が認定しているカウンセラー資格です。
臨床心理士と同じく組織が認定している心理士資格ですが、臨床心理士とは異なり指定大学院や専門職大学院のカリキュラムを修了している必要はありません

主に教育・健康・福祉に関わるカウンセリングの専門知識と技術を有しており、資格の取得には試験を受ける場合と推薦を受ける場合とがあります。

産業カウンセラー

一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定しているカウンセラー資格です。
企業や組織内での相談業務や研修を中心に行う、産業保健分野での基本的な専門知識が求められる資格です。

資格を取得するためには、協会が主催している養成講座を受講し修了するか、大学院などで指定されているカリキュラムを修めることで受験資格を得る必要があります。

まとめ

心理カウンセリングとは、対話を通して内面を穏やかにし、生活を豊かにしていく時間のことです。
心理カウンセリングには言葉を用いるものの他に非言語を用いるものもあり、その場合何らかの心理療法の法式に則って行われます。

一対一の対面で行われるものが一般的ですが、複数人で行われるもの、対面ではなく電話やリモートミーティングのツールを使って行われるものもあり、今後も用途に合わせて様々なカウンセリングが登場するでしょう。
心理カウンセリングと心理療法は一部重複するところもありますが、心理療法の方がより専門的であり、電話やLINEなどでは心理療法までは行えない場合もあります。

心理カウンセリングの効果は内面を穏やかにすることの他、自己肯定感を高めたり自尊心を回復させたりすることもできます。
知名度の高い臨床心理士、国家資格の公認心理師などがありますが、健康保険適用の心理カウンセリングは医師と看護師による認知行動療法しか実施することができないため、心理カウンセラーのカウンセリングを受けたい場合は個人負担となります。

※1 初診のうつ病患者における投与薬剤の実態調査研究, 中川敦夫・菊地俊暁, 2010 https://www.ncnp.go.jp/tmc/pdf/22_report05.pdf

※2 Prevention of relapse in residual depression by cognitive therapy: A controlled trial., Paykel, E. S., Scott, J., Teasdale, J. D., Johnson, A. L., Garland, A., Moore, R., Jenaway, A., Cornwall, P. L., Hayhurst, H., Abbott, R., & Pope, M., 1999 https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/205314

タイトルとURLをコピーしました