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設立コンセプト

心療内科で薬ばかりもらっていませんか? 

私は都内の心療内科で臨床心理士として10年間勤めてきました。
その中で見てきたのは、「診察に入ると困っている症状をとにかく全部言おうとする患者さんの多さ」と、「患者さんの困りごとに驚くほどあっさり向精神薬を出す医者の姿」でした。

過去の調査では、うつ病と診断された患者さんの実に7割以上、4人に3人が抗うつ薬を処方されていました※1
では残りは処方されていなかったのかというとそうではなく、4人に1人は2種類以上の抗うつ薬を処方されていたというのです。

心療内科に勤めてきた私の感覚から言っても、この調査結果にはあまり違和感を感じませんでした。
心療内科を受診すればまず間違いなく薬が出る、薬の出ない人はよほど強硬に服薬を嫌がった人か未成年だけで、そうでもしなければ医者は良かれと思って薬を出す。それが私の見てきた初診患者さんの実情です。

薬漬けになる患者さんを一人でも多く救いたい

一方、海外に目を向けると、2004年にイギリスにて出版されたNICEガイドラインという治療マニュアルでは、軽症うつ病の患者さんには投薬などの積極的な医学的治療をしないことが推奨されています2
治療初期に必要なのは、患者さんは何を変えることができ、また何を変えることができないのか、変わると患者さんにはどんな良いことがあるのかのモニタリングが重要とされ、薬を飲むこと以外の重要性が公的に初めて示されたのです。

このような経過観察と心理教育(疾患と治療に対する理解を深めてもらうこと)の大切さに気づいている心療内科医の方も日本にはいますが、まだその数はわずかです。
そのような現状を医療機関の中からも外からも見てきた経験から、「薬を処方できる医療機関ではまだまだ薬を出されてしまう現状は変わらない。それなら、薬の出せないカウンセリングルームで、そういった軽はずみな処方をしない心療内科を紹介したり、処方以外の改善方法を伝授したりできれば、結果的に薬漬けになる人を減らせるのではないか」と考えたのが、当オフィスを設立したきっかけです。

なぜ心療内科医は薬を出してしまうのか

言うまでもありませんが、心療内科の医者も儲けるために薬を処方したり患者さんを薬漬けにしたくて薬を処方したりしているわけではありません。
ほとんどの医者は目の前の患者さんを助けたくて薬を処方しますし、近年では処方すればするほど医療機関の儲けが減るような仕組みにもなっています。

日本社会における心療内科の働きは、1985年に新潟で行われた大規模な取り組みが源流の一つとなっています※3
地域の診療所や一般病院の外来でメンタルケアに関する取り組みを積極的に行った結果、その地域の自殺率が大幅に改善しました。

そのような結果を受け、うつや不安症からくる自殺の予防に対して早いうちから対処することが重要という認識が全国に広まるようになったのです。
日本では1998年に自殺者が3万人を超え、また芸能人や有名企業の自殺がセンセーショナルに報道された結果、自殺防止への働きが精神科・心療内科には強く求められるようになっていきました。

病院を受診する人は、苦痛を取り除いてもらいたかったり、和らげてほしかったりするために医療機関を訪れます。
中には、原因は何か診断してほしかったり、ただ医療者に言葉をかけてもらいたかったりする人もいますが、それらは全て副次的なニーズです。

一方、医療者は「治せない病や取り除けない苦痛がある」ということを知っており、むしろその限界を知っていることこそ医療者には必要な素養でもあります。
そうすると、医療者は次第に「治すこと」ではなく、「医療サービスを提供すること」こそ自分の使命だと、目的意識をすり替えるようになります。

この医療者側の認識は「治せなかったとき」にこそ有効に働きます。
「治せはしなかったが医療サービスを提供したのだから自分が手を抜いたわけではないし、対価を受け取ることも問題ないのだ」と、医療者側の心を守ってくれるのです。

しかし一方で、精神科/心療内科医療では治らなくても薬さえ出しておけば「医療サービスを提供した」ということにできてしまい、患者を薬漬けにしても何ら悪びれることのない医療者を誕生させてしまってもいます。
作用より副作用の多い薬を処方するのも、改善のないまま何十年も通院させるのも、休職延長の診断書や障害年金診断書を出し続けるのも、会話の中で厳しい言葉を投げつけるのも、「自分は医療サービスを提供している」というマインドセットがあるからこそなせる業であり、それが患者さん側の「治してほしい」という期待を裏切り続ける結果につながっています。

心療内科医が薬を出すのはそれがうつや不安を治してくれることを期待してではなく、自殺や自殺未遂の発生を防ぎたいという側面が強いのです。
「治してほしい」とわらにもすがる思いで受診する患者さんと、「自殺をさせまい」と考える心療内科医との間のズレはこのように発生し、患者さんが治ることを期待して訴えれば訴えるほど、このズレは大きくなり、薬が増えていってしまうわけです。

社会に必要なカウンセリングルームを作る

心療内科の現状を調べ、またその中で働くうちに、いま社会に必要なのは処方権のある医療機関ではなく、医行為を必要としない人をそもそも患者さんにしない、処方権を持たないカウンセリングルームではないかと考えるようになりました。
処方できることは確かに強力な武器が、強力が故に必要のない人にまでその力が振るわれてしまっているのではないか。そう考えたのです。

当オフィスは、もちろん皆様が少しでも気楽に生きられるよう全力で支援していく施設です。
その一方で、医療機関の援助が適切であったり、社会保障制度を利用することが望ましかったりする方には積極的に他機関を紹介したり並行して通所したりすることを勧めます。

この程度の困り事でも病院に行っていいのだろうか」「どこから手を付けていいか分からない」「とりあえず話を聞いてほしい」といったお悩みをお持ちの方は、治療の流れも公開していますので、ぜひ一度相談にいらしてください。

カウンセリングをもっと身近に

 カウンセリングというものは弱ったメンタルを元の状態に戻すだけでなく、今の気持ちをもっと前向きにより強いメンタルで更にハイパフォーマンスにするような効用もあります。
現にカウンセリングが一般的な海外ではスポーツ選手や俳優、トップ営業マンや大統領までもがカウンセリングを受け、輝かしい成果を上げています。

 当オフィスでも、記憶力や判断力、パフォーマンスを向上させるカウンセリングやメソッドを適宜行っておりますので、成熟した人格者・デキるビジネスパーソンに変わるきっかけの欲しい方も、一度お問い合わせいただければと思います。

※1 初診のうつ病患者における投与薬剤の実態 https://www.ncnp.go.jp/tmc/pdf/22_report05.pdf 

2 英国メンタルヘルス事業における心理支援の理論と方法-NHSが採用するStepped Careモデル-, 梅垣佑介・下山晴彦 http://www.p.u-tokyo.ac.jp/shimoyama/08kaken/pdfs/01/38d168942e6ea0965d06b27948b2ed34.pdf

※3 自殺対策から見たうつ病とその取り組み, 高橋祥友, 綜合臨牀, 2010 

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