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ブレインスポッティング

ブレインスポッティングとは?

ブレインスポッティング(BSP)視点誘導を利用するトラウマ治療法です。
言語(言葉)は用いますが、トラウマ記憶を思い起こしたときの身体症状を重視するため、身体心理療法(ソマティック心理療法)に分類されます。

2003年、EMDR(眼球運動による脱感作療法)実施中に特定の目の位置と治療効果について発見したデイビッド・グランド博士は、その後その方法を洗練化し、ブレインスポッティングの手法を確立させました。
以来、その効果はトラウマ治療に留まらず、パニック障害や強迫性障害、ビジネスパーソンや俳優、スポーツマンのパフォーマンス向上にまで治療実績を拡大しています。

どんな人にブレインスポッティングがオススメか

トラウマ記憶のせいで日常生活に支障が出ている人

トラウマ記憶には、ショックトラウマと愛着トラウマ(発達性トラウマ)があります。

ショックトラウマとは、事故に遭ったり職場でハラスメントを受けたりしたときにトラウマとして記憶に残るもので、一般的な意味でのトラウマです。
愛着トラウマとは、幼少期に虐待を受けたり育児放棄されたりしたことでその後の心身に変調をきたしたもので、愛着障害や発達障害、自律神経失調症として症状化します。

どちらのトラウマの場合でも、フラッシュバックに悩まされたり動悸や下痢を起こしやすくなったりして日常生活に支障をきたすケースがほとんどですので、ブレインスポッティングによる改善が期待できます。

あまり過去の出来事を話したくない人

これまでのトラウマ治療は、過去の出来事を患者本人の口から話してもらい、その語りの中で本人の内面にも変化が生じ、次第に感情と記憶が整理されていくといったものでした。
ブレインスポッティングは、トラウマ記憶よりもそのときの身体反応や症状について話すことにセッションの大半の時間を費やすため、トラウマ記憶のことを話したくない、何度も話してきたために治療にうんざりしている方に適しています。

素早く劇的な治療を望んでいる人

ブレインスポッティングは、脳と身体の内的処理を活性化し、それについての情報を整理するため、1回のセッションで明らかに変化することが多く見られます。
2回のブレインスポッティングと1回のフォローアップで治療が終結することも少なくありませんので、即効性を期待される方、経済的時間的なコストをかけずに治療したい方に向いている治療法だと言えます。

症状セルフチェックリスト

  • 動揺すると落ち着くまでに長く時間がかかる
  • 気持ちが麻痺したり、感情がシャットダウンしていると感じる
  • 自分が敗北した人間であるかのように感じる
  • 自分には価値がないように感じる
  • 他人との間に距離を感じたり、切り離されているかのように感じたりする
  • 他の人と情緒的に親しくし続けることは難しい

他のトラウマ治療との差

EMDRやトラウマフォーカスト認知行動療法など、トラウマ治療に効果的とされる心理療法はいくつか存在します。
ブレインスポッティングは、その中でも最も効果的であるという報告があります。

2012年12月14日、アメリカ・コネティカット州ニュータウンの小学校で、男(20歳)が銃を乱射し、26人が死亡、男は校内で自殺するという事件がありました。
このニュータウンのコミュニティおよび個人に対して援助や支援サービスが行われましたが、その後、事件からの回復に何が役立ったのか、匿名でのアンケートが実施されました。

各心理療法・治療的介入のうち「とても効果的であった」と回答した割合が最も高かったのが、ブレインスポッティングです※1
ブレインスポッティングは素早く効果的であることに加え、治療後にもその効果が持続した点がこのような回答結果になったと考えられます。

ブレインスポッティングのやり方

まず、トラウマ記憶を頭に思い浮かべてもらい、そのときの身体反応を報告してもらいます。
この手続きをアクティベーションと呼びますが、特にトラウマ記憶を話したり整理したりしないでも実施できる点がブレインスポッティングの特長です。

次に、視点を移動してもらい、反応するポイントを探します。
主な反応としてはまばたきの増加がありますが、それ以外にも呼吸が浅くなる、小刻みに震える、「何となく嫌な感じがします」と報告してもらう等、出現する反応は様々です。

反応する視点のポイントが定まったら、そこで目の位置を固定してもらい、そのまま身体内部の感覚を観察してもらいます。
身体感覚は徐々に大きくなる場合もありますが、移動したり小さくなったりをただあるがままに観察してもらうと、次第に感覚と感情が穏やかになっていきます。

不快な感情が全くなくなる体験を何度か繰り返してもらい、その感情が全く起こらなくなるまで繰り返して、セッションは終了です。

症例報告

医療機関や臨床現場で治療を行ったいくつかのケース(症例)を複合し、ブレインスポッティングの治療効果を示す典型的なケースとして紹介します。

上司の叱責から休職していたケース

20代女性、イベント運営業務。

繁忙な部署に配属となり、直近では月30連勤、残業時間100時間超という業務状況でした。
業務中に過呼吸を起こし受診、うつ状態と思考力の低下、全身の倦怠感が認められ、休職に入りました。

休職後からは頭痛と吐き気が出現し、市販の頭痛薬でしのぐようになっていました。
ブレインスポッティングでは過重労働の記憶ではなく、上司からの叱責を受けて悔しい思いをしたりいたたまれなくなったりした出来事を取り上げ、3回目を終える頃には職場に対するネガティブな記憶も、急に思い出すことはなくなっていました。

過大なストレスが短時間にかかったものが、トラウマとして記憶されます。
記憶は脳だけでなく神経系やホルモン系などの身体にも残るため、ストレスからきていると思われる身体症状にもブレインスポッティングが奏功するケースがあります。

OJTとの関わりがトラウマとなったケース

20代男性、IT企業勤務。

入社後にOJTがつき指導を受けていましたが、彼の意見を求める割にその意見を否定するということを繰り返し、徐々に意見を言うことが怖くなっていきました。
次第にOJTから話しかけられることそのものを回避するようになり、OJTと対峙していないときにもその否定される状況をフラッシュバックするようになっていきました。

ブレインスポッティングは2回行い、初回実施後にはフラッシュバックが起こらなくなり、トラウマ記憶があることを忘れていられる時間が増えました。
2回目実施後にはフラッシュバックが起こらないだけでなくその前触れに冷静に気づけるようになり、3回目のセッションでフラッシュバックが起こっていないことを確認して治療は終了しました。

トラウマから眠れなくなったケース

20代女性、アルバイト。

業務中、注意を受けると多少のことでも落ち込んでしまったり、その後まで引きずってしまったりすることがあり、過去のトラウマ体験が影響しているのではと考えて受診しました。
HSP(Highly Sensitive Person)かもしれないと思ったことと、夜寝る前にトラウマ体験のことが脳裏をよぎるとそのまま眠れなくなってしまうことが特につらいと訴えました。

トラウマとなったのは、インターン生として訪れたインターン先で社長から言われた否定的な言葉かけでした。
ブレインスポッティングを3回実施し、2回目まででインターン先のことは頭に浮かばなくなり、身体反応も落ち着きました。

3回目のセッションでは別の対人関係のことを取り上げましたが、このケースのようにフォローアップ的にブレインスポッティングをおこなっておくと、ちょうど数ヶ月に1回歯医者にクリーニングに行くように、精神症状も自律神経症状も再発しづらくなります。
3回目を終えたところで主な症状も見られなくなっていたため、治療は終結となりました。

複数のトラウマ記憶を持っていたケース

20代女性、アルバイト。

前職の上司が厳しいことを言う人で、その上司のせいかは分からないが、自分の心情を話そうとすると涙が出てきてしまって業務相談ができないことに困っていました。
現在はその上司との関わりはなく職場の人間関係にも問題はありませんでしたが、涙ぐむ症状がHSP(Highly Sensitive Personによるものではと思い、相談に来られました。

ブレインスポッティングを3回行い、1回目は元上司のこと、2,3回目は家族のことをセッションの中で取り扱いました。
初回実施後には多少涙目になるくらいになり、肩や腕、喉のこわばりが取れていくのを感じました。

セッションの回数を重ねるうち、トラウマとなっていたのは元上司のことではなく、家族から自分の興味対象をけなされたりバカにされたりしたことに気づいていきました。
4回目のセッションで元上司と似た人と遭遇したがフラッシュバックは起こさなかったことを確認し、治療は終結しました。

過剰な感情を鎮めたケース

30代男性、公務員。

同僚に怒りを感じてしまい仕事にやりがいを感じられないことで悩み、相談に来られました。
職場ではこれまで自分が率先して改善に取り組んできたのにそれは評価されず、逆にこれまで大して取り組んでいなかった同僚が少しやり始めただけで評価されていることに憤りを感じていました。

ブレインスポッティングを3回行い、「同じレベルで取り合っても仕方がないな」「他にもやらなければならないことがあった」と捉え方が変化していきました。
前の先輩の教え方を非難されているように感じてつらくなったり、評価しようとしない現先輩に憤ったりすることも低減し、「どうでもいいことだった」「適当にやろう」と考えられるようになり、治療は終了しました。

自律神経症状を治すならブレインスポッティング

ブレインスポッティングは視点誘導を利用し、トラウマからくるこころの症状や自律神経失調などのからだの症状を治療するソマティック心理療法の一つです。
トラウマ記憶を想起したときの身体感覚に注目し、その沈静化を図るため、トラウマ記憶についての詳細を話したくない人、日常的にこころやからだの症状に悩まされている人、即効性のある治療を希望する人などに適しています。

ブレインスポッティングのやり方は簡単です。
視点誘導によって身体反応のあるところを探し出し、そこに視点を固定したまま身体感覚の観察を行います。
事故やトラブルだけでなく、パワハラやセクハラなどの対人関係、親子関係、自然災害などのトラウマ記憶を解消したい方は一度当オフィスにご相談ください。

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※1 銃乱射事件調査|ブレインスポッティングが最もトラウマ回復に有効, 鈴木孝信ブログ http://suzuki-takanobu.com/post-599/

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