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「高感度である」というラベルはダークトライアドによって操作戦略として利用されることがあります

皆さんは自己紹介のとき、何を話しますか?

「自分はこういう人間だ」ということを分かってもらうために、好きなものや好きなことを話すでしょうか。
それとも、「こういう人間と思われたい」がために、それに沿ったことは話し、それにそぐわないことは意図的に隠すでしょうか。

闇の性格ダークパーソナリティと呼ばれるダークトライアドの人は、こういった自己演出セルフプロデュース自己脚色セルフイミテーションに余念がありません。
そのうちの一つが、「自分はHSPだ」と自らの敏感さや繊細さを表明することだといいます。

利己的な人の採る対人戦略について説明します。

ダークトライアドとは何か? ダークトライアドの特徴と定義

ダークトライアド(dark triad)とは、精神病質サイコパシー利己性ナルシシズム権謀術数主義マキャベリズムの要素を兼ね備えた性格傾向です。
対人攻撃性が高く、共感性が低く、冷徹に物事を判断したり意見したりすることを好みやすい性質があります。

サイコパシー:利己的・反社会的・衝動的

ナルシシズム:誇大的・賞賛を強く求める・共感の欠如

マキャヴェリズム(権謀術数主義):他者操作・冷笑・搾取・欺瞞

3特性に加虐性サディズムを加え、ダークテトラッド(dark tetrad)と呼ばれることもあります。
かつては精神病質サイコパシー加虐性サディズムは同一であるか、その一部と考えられていましたが、最近の研究ではそうとは限らず、「サイコパスだがサディストではない」「サイコパスではないがサディストである」といったケースも確認されるようになっています。

HSPとは何か? HSPの特徴と定義

HSP(highly sensitive person)とは、脳の感覚処理過程に特徴があり、刺激に敏感であったり、共感性が高かったりする人のことです。
5人に1人程度しかいないとされ、物事の考え方が深い、感覚域が低く反応しやすい、興奮状態に陥りやすい、美的感覚に優れ鋭敏、などの特徴も有しているといわれます。

DOES
  1. 物事の考え方が深い Depth of processing
  2. 刺激に敏感である  Overstimulation
  3. 共感しやすい    Emotional response and empathy
  4. 感覚が鋭い     Sensitivity to subtleties

芸能人や著名人が「自分はHSPである」と表明したこともあり、そのことによって一気に日本での知名度の高まった性質でもあります。
HSPであることによって日常生活でストレスを感じやすかったり、生きづらさを感じたりする人もいる一方で、そのことを打ち明けることで特別の配慮を得たり、自分に都合良く注目を集めたりするケースもあるといいます。

シグナリングとは何か? 動物の持つ情報発信戦略

他の個体に情報を発信することで自己を保全しやすくしたり、今後の展開に有利になったりするように働きかけることをシグナリング(signaling)といいます。
シグナリングには、正直なシグナル(honest signals)と不正なシグナル(dishonest signals)があり、「HSPである」という表明は、不正なシグナルにあたるとする説があります。

欺瞞的シグナリング仮説

欺瞞的シグナリング仮説(“deceptive signaling” hypothesis)では、本来とは異なる性質であるとシグナリングすることで、他者から支援を引き出したり、望ましい待遇を得たりできるようになり、周囲を自分好みの人たちで固められる戦略があるとされています。
HSPであることの表明が、他者からの配慮と理解を得るために利用されているということです。

カジジクとモロアンは、自分が他者に対して高感度であること、すなわち、HSPであるとシグナリングすることとダークトライアドの関連を調査しました※1
その結果、ダークトライアドの3特性の中でもサイコパシーとナルシシズムを有している人は、HSPであると自己開示することが周囲から良い反応を引き出せると考えていることを突き止めました。

HSPであるとシグナリングすることは、敏感な性格だという意味合いではなく、何らかの社会的目標を達成するために用いられた戦略である可能性があると考えられます。

自己に有利に運ぶために戦略的に自己開示を行う人もいる

HSPに限らず、ダークトライアドは様々な戦略を用いて自身の得たいもの(金銭や物品、注目、称賛など)を得ようとします。
HSPであることを人に話せば、強い口調で話されることを避けられるかもしれませんし、自身の発言を「(考察が)深い」「(洞察に)優れている」「考え抜かれている(に違いない)」と受け取ってもらえる確率が高まるのかもしれません。

「私はHSPです」と表明している人が、みな欺瞞的戦略を画策していたり、ダークトライアドだったりするわけではない点には、注意が必要です。
むしろ、ダークトライアドやダークテトラッドの対人戦略の一つが、HSPを自称することだということが明らかになった、と考えるべきでしょう。

相互理解を求めてHSPだと自己開示する人もいるはずです。

社会生活の中には、こういった戦略が数多くあります。
スタートアップ企業と老舗企業では採るべき戦略が異なるように、その人を取り巻く環境によっても適した戦略は異なります。

生きづらさを解消するための戦略を検討したい方、メンタル改善のためにどういった戦略があるのか知りたい方は、ぜひ一度当オフィスにご相談ください。

※1 他者に影響を与えるための高感度シグナル: 強化感受性の役割、感覚処理感受性の役割、ダークトライアドの役割に関する最初の証拠 https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/00332941231152387

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