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愛着スタイルが不安定型だとPTSD症状を訴えやすくなります

PTSDの発症と親子関係には、密接な関連があります。

トラウマ体験をしても、その後で体験を語ったり、思いや感情を吐露したりできれば、PTSDなどの症状にまでは至らないかもしれません。
反対に、体験後も作業に追われたり、心境を話す機会に恵まれなかったりすれば、記憶が心の傷トラウマ化し、後々までその人を苦しめる確率が高まります。

トラウマティックストレスを受けた直後だけでなく、それよりもっと以前の親や養育者との関係が、心の傷トラウマ化の緩衝材の役割を果たす可能性が指摘されています。
トラウマに残りやすい人とそうでない人とは何が違うのか、メタアナリシスのレビューから、PTSD症状と愛着の関連を説明します。

PTSDとは? トラウマ後ストレス障害の定義と症状

PTSD(post traumatic stress disorder)ストレス関連障害の一つであり、侵入思考や過覚醒を主症状とする精神疾患です。
きっかけとなる出来事から1ヶ月経過しても症状が出現する場合に診断され、1ヶ月以内に消失した場合にはASR(acute stress reaction:急性ストレス反応)と呼ばれます。

侵入思考       :体験したことが不意に脳裏に蘇る・現実感を伴って思い出される

過覚醒        :過緊張・怒りっぽさ・過敏性・動悸・発汗

気分と認知の陰性の変化:ネガティブ思考・抑うつ・興味関心の喪失・自責の念・疎外感・絶望感

回避         :ストレッサーを想起させる活動、状況、人物、話題を避ける

PTSDからくる諸症状をPTSS(post traumatic stress symptoms:心的外傷後ストレス症状)と呼ぶこともあります。
代表的なPTSSは侵入思考(≒フラッシュバック)、過覚醒、気分と認知の陰性の変化、回避の4つですが、他にも、出来事を思い出したときの激しい苦痛や不安感、ネガティブな気分や考えに囚われやすくなる、過度の緊張や警戒心などが該当します。

親とどのような情緒的絆を結んでいたかというタイプを「愛着スタイル」といいますが、不安定な愛着スタイルの人はPTSSを報告しやすいと言われています。 

愛着スタイルとは? 愛着スタイルの定義とタイプ

愛着スタイルとは、養育者との間で形成される情緒的絆と表現されます。
安定的な関わりを受け続けた子はその後の対人関係も安定的になるとされ、そうでなかった子は養育者への信頼感の欠如と不安感を抱き、それ以外の他者との関わりにもそのスタイルを一般化させ、不安定な対人関係を築くようになるといわれています。

関わり方が不安定であった子は、養育者に強くしがみついて離れたがらなかったり、逆に全く誰にもなつかず親しい関わりを回避したりします。
他者と離れた状態だと感情のコントロールが安定しないために離れたがらない愛着スタイルをとらわれ型、他者と近しくなると情緒が安定しないために近づくことを回避する愛着スタイルを拒絶型、そのどちらの性質も有しており、人と近しくも遠ざけもできず葛藤に陥る愛着スタイルをおそれ型といいます。

とらわれ型、拒絶型、おそれ型といった不安定な愛着スタイルを示す人の方が、そうでない安定型の愛着スタイルの人よりもPTSD症状を訴えると言われています。

PTSD症状と愛着スタイルの関係

クッシングらは、30の研究をメタアナリシスし、小児期から青年期の人の愛着スタイルとPTSD症状との間に相関があるか調べました※1
その結果、不安定な愛着スタイルの人ほどPTSD症状を経験することが明らかになりました。
また一方、より安定的な愛着スタイルの人ほどPTSD症状を経験しづらいことも判明しました。

同じ研究では、不適切養育マルトリートメントと愛着スタイル、PTSD症状との関連も分析されています。
それによると、不適切養育を受けると不安定な愛着スタイルとなり、より重度のPTSD症状を来すようになる可能性が示唆されています。

重いPTSD症状でも対人関係の安定化で緩和させられるかもしれない

安定した愛着スタイルがPTSD症状を緩和し、反対に不安定な愛着スタイルであるとPTSD症状が重症化する可能性が示されています。
重いトラウマ症状に悩まされている場合には、安定した対人関係を築き、愛着スタイルを安定化させることが症状を和らげることに繋がる可能性があると考えられます。

同じトラウマティックストレスを受けても、PTSD症状が表れる人とそうでない人がいることは、精神医学領域では広く一般的に知られています。
重度の、もしくは複数のPTSD症状が表れる背景には、愛着スタイルが影響しているかもしれません。

自分の症状や体験を「こんなことで」と思わず、PTSD症状に思い当たる節のある方は、ぜひ一度当オフィスにご相談ください。

※1 児童期・青年期における愛着とトラウマティックストレスの関係:メタ分析的レビュー https://www.cambridge.org/core/journals/development-and-psychopathology/article/relationship-between-attachment-and-posttraumatic-stress-in-children-and-adolescents-a-metaanalytic-review/28C0AAA3AF4115B8B3CEE4C33AFAE8D3

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