ある行動をとり続けていると、交際関係を解消されてしまうリスクが高まります。
LINEやTwitter(X)、FacebookといったSNSは交際相手と親密な関係を結ぶには欠かせないツールである一方、使い方を誤ると不安や猜疑心が高まり、交際が短命に終わってしまうリスクも孕んでいます。
交際を長続きさせるためにSNSをどう使い、どう相手にメッセージを発していくのが望ましいのでしょうか。
愛着不安の高まりやすい人に関する研究を基に、交際関係を存続させるコツについて解説します。
愛着不安の強い人とは?
交際相手の行動が不安を呼んだり、疑いの目を向けさせたりすることがあります。
魅力的な異性を見ていたり、自分ではない異性の話を楽しそうにしていたりすると、「交際相手はその異性のことが好きなのではないか」「もう自分から気持ちが離れてしまっているのではないか」となるようなケースです。
インターネットのない頃にもそういったケースはありましたが、インターネットが発達するにつれ、また新たなケースが登場するようになってきました。
異性のSNSでの投稿を頻繁に確認していたり、投稿にコメントしたりDMを送っていたりするのを見ると、そのような不安に駆られた経験のある人も少なくないのではないでしょうか。
こうした不安を愛着不安と言い、こんな不安に駆られやすい人は愛着スタイルとらわれ型と呼ばれます。
とらわれ型の人は自分に自信がなく、他者に依存的になりがちです。
交際相手だけでなく親密な関係について不安を抱きやすく、行動や決定も間違っていなかったかを過剰に確認します。
注意を向けてもらい続けることを望み、連絡することも来ることも多いことを望むタイプです。
交際関係を公約コミットする行動
2023年の研究では、恋愛関係を交際相手やその他の人に周知する、いわゆる公約行動について調査されました※1。
この研究では特にSNS上での81の行動がピックアップされ、その中のどれがコミットメント行動と見做され、どれが見做されないかが評価されました。
例えば、交際相手についての投稿をする、交際相手の投稿に「いいね!」する等の行動です。
その中で、最もコミットメントを示すと認められた行動が4つありました。
その4つとは、①出会い系アプリを削除する、②異性からのDMを無視する(返信しない)、③交際相手の有無の欄を「交際中」と表示する、④異性へのフォローを解除する、です。
このことから、交際への公約を示すには、ポジティブな行動をとるよりネガティブなものを排除した方が効果的と考えられます。
交際相手に「いいね!」するより効果的なこと
それでは、愛着不安の強いとらわれ型にも、この行動群は有効なのでしょうか。
それとも、これらは一般的な人に限った結果であり、とらわれ型には当てはまらないのでしょうか。
同じく2023年の研究では、その点についても実験が行われています。
まず、愛着不安の強いとらわれ型がインターネット上でのやりとりを見ても不安を強めるのかという点では、やはりインターネット上であっても不安が高まることが確認されました。
とらわれ型は、交際相手がSNSなどで別の異性の投稿を「いいね!」やブックマークしていたり、別の異性とチャットで会話していたりするのを見ると、不安や嫉妬、不快感が他の型より高まりました。
そして、別の異性からのDMを無視したり、フォローを解除したりするような公約行動を目にすると、とらわれ型でもそれ以外の型でも不快感が低減することも確認されました。
公約行動をとることで、交際相手に「自分たちの関係を”誠実なもの”と思ってくれているのだ」と知らせ、周囲にもそれを伝えていることになると考えられます。
まとめ
かつて、アニメ『スラムダンク』のED曲『あなただけ見つめてる(歌:大黒摩季)』の歌詞には、「便利だった男の子達 整理した」というフレーズがありました。
この曲では、女性が交際相手である「あなた」を一途に想い、「あなた」好みの女性になろうと献身するさまが描かれています。
1993年当時、『スラムダンク』のEDとして聴いただけでは、想い人への真っ直ぐな気持ちを歌った歌に聴こえたのが、よくよく歌詞を読むと「重い」「痛い」「怖い」という、悲鳴にも似た感想もよく聴かれたこの曲。
時は移り変わり2024年、SNSで見ず知らずの人とも容易に繋がれるようになった現代では、繋がっている関係を切ったり整理したりすることが、交際上はむしろポジティブな情報として一般的に定着したと言えそうです。
交際相手に真剣に向き合っていることを示したいなら、特に上述した公約行動(出会い系アプリの削除・異性からのDMを無視・「交際中」のステータスにする・異性へのフォローの解除)をするのが望ましいでしょう。
反対に、交際相手が自分に誠実に向き合っているかを確認したいなら、公約行動をしているかを観察してみるところから始めるのが望ましいと思われます。
※1 脅威となるオンライン上の別の異性への対応:SNS上での行動からパートナーのコミットメントを理解する https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/02654075231186960
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