特定の服を着ていると、人から攻撃されやすくなります。
皆さんは服装を選ぶとき、何を基準に選びますか?
着たい服を着る方もいれば、着心地の良い服を選ぶ方もいるかもしれませんね。
「外見は一番外側の内面」ともいうように、外見は何を重視し、何を重視しないかといった価値観も端的に示すことがあります。
その一方で、外見から内面を誤解され、友愛や攻撃といった行動を引き起こさせることもあるようです。
ここでは、服装のシグナリングについて説明します。
シグナリングとは? 目標達成に用いられる戦術的信号
他の個体に情報を発信することで攻撃されにくくなったり、その後の展開を有利に運べたりするように働きかけることを、シグナリング(signaling)といいます。
動物の例では、力のそれほど強くないハサミでも大きく強そうに見せかけたり(シオマネキ)、硬くて不味いアリの姿に見せかけたり(ハエトリグモ)するのが、シグナリングに当たります。
人間でも、服装によって他の個体が近づいてくるよう誘導したり、また逆に遠ざかってくれるよう働きかけたりしているとされています。
そのうちの一つに、特に女性が同じ女性からの攻撃を避けるため、露出を抑えた控えめな服装を選択している可能性が示唆されています。
容姿や服装と攻撃されやすさの関連
オクラホマ進化分析センターは、まず露出度の高い服装をしている女性と控えめな服装をしている女性を男女に見せ、「どちらの方がより攻撃を受けそうか」を調査しました※1。
その結果、露出度の高い服装をしている方が嫌味っぽいこと言われたり、陰口を叩かれたりといった攻撃性の対象になりやすいことを明らかになりました。
また、今度は女性のみを対象に、どのような服装でどういった社交場に行くかを選択させました。
候補となった場は、「男女とも集まる場」「初めて会う女性のみの場」「知り合いの女性のみのいる場」などでした。
その結果、男性もいる場所に出席するときより、女性のみの場所に出席するときの方が、より控えめな服装を選ぶ傾向にありました。
魅力的な容姿が他者の目には攻撃的だと映ることもある
控えめな服装を選んだ女性の方が、自分の肉体を「魅力的である」と評価していることも分かりました。
これは、魅力的であることを周囲に示してしまう方が「自己顕示的で攻撃的だ」と人の目に映ったり、周囲に劣等感を感じさせようとしているように見えたり、「自分の彼氏や夫を奪われるのでは」といった脅威を感じさせたりするために、かえって攻撃対象となることを避けているケースが考えられます。
自分のことを身体的に「魅力的だ」と思っている女性は、初めて会う女性だけの場では露出度を抑え、控えめな服装を選択しましたが、既知の女性だけがいる場となると、そのような選択傾向はなくなりました。
「初対面の人のいる場であること」「相手が女性であること」の両方が魅力的な女性にはストレスであり、より攻撃対象とならないようなシグナリングを行うようになると考えられます。
女性は服装によってストレスを緩和している
一方、自分の肉体を「魅力的でない」と思っている女性は、初めて会う女性のみの場では、露出度の高い服装をする傾向が確認されました。
「自分は露出度を高めても他の攻撃対象にはならないだろう」と自信のないことの表れかもしれません。
または、露出度の高い服装をすることで自尊心を高め、ストレスフルな場に行けるよう鼓舞しているとも考えられます。
こういった服装のメリットとデメリットを鑑みて選択する傾向は、女性が新規の男性と会うときにも確認されました。
つまり、女性は友人候補の男性と会うとき、露出度の低い控えめな服装を選択し、挑発的な服装を避けることが分かりました。
女性は服装からもたらされる脅威を敏感に察知し、攻撃される危険性が最も低くなるよう、理性的な判断と行動を採っていると考えられます。
まとめ
女性は同性の持つ攻撃性を刺激しないよう気を配り、「性的な奔放さ」や「性に寛容であること」のシグナルを戦略的に弱め、先々の脅威を引き起こさないよう努めているものと考えられます。
新奇な人との出会いは男女問わずストレスフルですが、その中において露出の少なさは防衛的に働き、攻撃対象になることを避けられるよう機能したり、傷つき体験を減らしたりすることに一役買っているようです。
人間が群れを作る社会的動物である以上、対人関係からくるストレスからは逃れられません。
大事なのは、ストレスフルな状況でも問題なく過ごしている人はどんな戦略を有しているか、その戦略を実行するためには自分のどんなスキルを成長させる必要があるかを知っておくことです。
生活の煩わしさや日常の喧騒から離れ、戦略を振り返りつつ検討するのにも、カウンセリングという方法が有効です。
仕事のこと、プライベートのこと、親のこと、友人のことなど、お悩みの際にはぜひ当オフィスに相談してみてください。
※1 同性からの攻撃に対する女性の戦略的防御: 服装行動からの論拠 https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1948550619882028
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