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推し活

俳優やアイドル、ミュージシャンや創作物のキャラクターを熱狂的に好きになり、その活動を追うことを、推し活と呼びます。
その内容としては、公演やライブに行ったりグッズを買ったりするほか、推しのアクリルスタンドを持ち歩いて観光地や料理と一緒に撮ったり、推しのイメージカラーの物を常に身に着けたりすることなどが該当します。

現代人は、なぜ推し活に走るのでしょうか。
推し活する人の心理と、その心身への影響について解説します。

推し活とは?

好きなアイドルや芸能人、アニメのキャラクターのことを「推し」といいます。
推し活とは、推しを応援し、推しに情熱を注ぐ活動のことを指す、通俗的な表現です。

推し活のように、特定の人物に極端に熱中したり投資したりする行為を、心理学では有名人崇拝といいます。

有名人崇拝

有名人崇拝(celebrity worship)とは、有名人に対する極度な愛情です※1
有名人に熱中し、過剰な関心と財産を注ぎ込むことを指し、そういった行動は有名人崇拝症候群(celebrity worship syndrome:CWS)とも呼ばれます。

有名人崇拝は、有名人への熱狂的な関心レベルのものから病的な執着レベルのものまで、様々なグラデーションを持っているとされています。

  1. 娯楽-社交レベル :好きな有名人のライフストーリーを学ぶのはとても楽しい、など
  2. 強烈-個人化レベル:好きな有名人をソウルメイトだと思っている、など
  3. 境界-病的レベル :運よく好きな有名人と会え、好意から違法なことを頼まれたら、おそらくやってしまうだろう、など

テレビやラジオ、ネット配信やSNSの登場により、消費者は有名人のことを更に知りたくなり、有名人との関係にも幻想を抱きやすくなりました。
有名人本人や「公式」から直接発信されたかのように見える投稿やメッセージなど、これまで以上に情報にアクセスしやすくなってきたことによって、有名人崇拝も生じやすくなっていると考えられます。

推し活しすぎるとどうなる? 推し活の心理的影響

メンタルヘルスの悪化

推し活(有名人崇拝)にハマると、むしろ自身の将来に不安になったり、現在の幸福度が低下したりします※2※3
精神状態が悪くなることで不安障害になったり、うつ病を発症したりする確率も高まることが示唆されています。

推しのことやライブのこと、推しへの愛を示す様々な活動などで頭がいっぱいになり、強迫的になってそれ以外のことが頭に入らなくなる可能性もあります。

衝動買い・買い物依存

衝動買い率が高まり、買い物依存に走りやすくなります※4
日常的なネガティブ感情を和らげるために推し活をしてしまうと、いざ推し活できる状況になったとき、「普段楽しいこともせず、我慢してきた分だ」「ここでくらいは出費してもいいだろう」などと、グッズ購入や投げ銭に歯止めが利かなくなるようです。

これは薬物依存やアルコール依存と同じく、行動依存症に陥るリスクがあります。

ソーシャルメディア依存

推し活(有名人崇拝)にハマる人はまた、SNS依存になりやすいとも報告されています※5
買い物依存同様、不安やイライラといったネガティブ感情を和らげるために推し活をしていると、TwitterやInstagramといったソーシャルメディアに費やす時間が増え、推しやファンの動向を確認しているうちにSNS依存になってしまうようです。

推し活にのめり込むのはなぜ? 推し活する原因と対策

社交不安

対人不安や対人緊張といった社交不安傾向が強いと、推し活に没頭しやすいとされます※6
社交不安が強いと孤独感や空虚感も大きく、その解消のために推し活にのめり込む可能性が示唆されています。

社交不安の強い人は他にも、内向的で対人関係に敏感だったり、有意義な人間関係を築けていなかったりする傾向があるため、そういった人も推し活にハマるケースが多いと言えるでしょう。

親の社会経済的地位

親の収入や社会的地位が高いと、推し活にのめり込みにくいとも言われています※6
言い換えると、親の収入が低かったり、社会的地位が低かったりすることが、推し活に没頭するリスクを高めているということです。

これは、収入や社会的地位の低い親は子育てにあまり関与せず、子は内なるネガティブ感情を調整する手立てを習得できていなかったがために、ネガティブ感情を過度な推し活に注いでしまうことが考えられます。

スマホ依存

スマホを依存的に使用することも、過剰な推し活を引き起こす一因です※6

スマホを長時間使用する人は、その時間に比例してネットから得る情報に重きを置くようになります。
すると、アイドルやインフルエンサー、動画配信者を目にする機会も増え、その関心も高まることで、推し活にハマりやすくなります。

このことから、友人や仲間とのコミュニケーションを増やし、スマホ以外による交友関係を育んでいくことが、過度の推し活を適度なそれに改善していけると考えられます。
スマホへの依存は、メールやメッセージの確認によって不安を解消し、安らぎを得ようとしている側面もあることから、スマホを使わずに不安を解消する術を身に着けられれば、推し活に多額の資金をつぎ込んだり、強迫的に推しの動向を確認したりすることも、間接的に減らすことができるでしょう。

まとめ

推し活(有名人崇拝)研究によれば、推し活に男女差はないことが分かっています※6
一方で、娯楽目的で推しのニュースを仕入れたり、推しの話題で盛り上がったりすることは、女性の方がより頻繁に行うそうです。

ネガティブ感情の緩和を目的とせず、人生を豊かに、人と楽しく過ごすための推し活するよう心がけることが大切です。
ネガティブ感情の緩和や解消で困っていることがあれば、ぜひ一度当オフィスにご相談ください。

※1 有名人崇拝:それが私達の精神衛生に及ぼす影響 https://www.verywellmind.com/what-is-celebrity-worship-5219745

※2 ドゥームスクロールは有名人崇拝と関係があるか?異文化研究 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ijop.13159

※3 有名人崇拝者の自己報告による心理的主観的幸福感 https://www.researchgate.net/profile/Lynn-Mccutcheon/publication/233858367_The_Self-Reported_Psychological_Well-Being_of_Celebrity_Worshippers/links/5a0b0a970f7e9b0cc0251ca7/The-Self-Reported-Psychological-Well-Being-of-Celebrity-Worshippers.pdf

※4 病的な有名人崇拝と衝動買い https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2022.823478/full

※5 スターに手を伸ばすための新たな方法:有名人崇拝と問題のあるソーシャルメディアの使用および問題のないソーシャルメディアの使用の関連 https://psycnet.apa.org/record/2020-11769-001

※6 社交不安と有名人崇拝 https://bmcpsychology.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40359-023-01405-x

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