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想定の範囲 -ポジティブシンキングの作り方04-

2000年代中頃、当時ライブドア代表だった堀江正文氏がフジテレビ買収の際によく言ったワードが「想定の範囲内」でした。
「想定内」でなく、あくまでも「想定の範囲内」と表現し、かつそれを度々用いる様子をメディアも繰り返し報じたことで、2005年には流行語大賞の候補にも挙がりました。

「想定内」だと「予想通り」という意味ですが、「想定の範囲内」だと少しニュアンスが異なります。
この「想定の範囲」を持つことが、ポジティブシンキングや、ひいてはポジティブ感情を抱きやすくなることにも繋がります。

想定に幅を持つ方法や、ポジティブシンキングとの関連について説明します。

不安でたまらなくなるのはなぜ? ネガティブな想定と不安

人は想定することをやめられません。
「定規で線を引こう」と思えば、定規を手に取る前から「きちんと線の引けている状態」を想定しているものです。

「期待するから落ち込むのだ」と言う人もいますが、直線を引くことを期待しないというのも無理な話でしょう。
人は想定をする生き物であり、想定そのものをやめることはできません

ネガティブな想定をしてしまう人というのは、いわば「定規がずれて真っ直ぐ引けなかったらどうしよう」「線に指が引っかかって失敗したらどうしよう」と考えてしまうようなものです。
これを読んでいる方も一度はしたことがあるでしょうし、しかしそんなことが頭に浮かび続けていれば、ただ直線を引く程度のことでも自然にできなくなりそうなことは、想像に難くないでしょう。

ネガティブな想定に対抗するには? 想定の範囲を持つ方法

ネガティブな事態をできる限り想定する

まず、できる限りネガティブな、最悪の事態を想定します。

誰も助けてくれず、全てが裏目に出て、運にも見放された状況だとどうなるか、下限について想定します。
ネガティブな人は持ち前のネガティブさを発揮し、できるだけ悪い方へ悪い方へ、想像力を駆使します。

ポジティブな事態をできる限り想定する

次に、反対の事態――ポジティブで最善の状況を想定します。

たまたま人が助けてくれ、自分のしたことも思いの外うまくいき、良い方向に進んでいったらどうなるかを想定します。
「思いもよらない人が助けてくれて」のような、想像できない人や出来事はなるべく含まず、想定し得る最善の事態を頭に思い浮かべます。

このとき、最悪の事態を想定できていればいるほど、最善の事態のことも想定しやすくなります。
ネガティブや負など一方の事柄ばかり考えていると、反動でもう一方の事柄も頭に浮かんできやすくなります。
これを、心理的リアクタンスといいます。

ネガティブになって不安に陥りやすい人というのは、中途半端に悪いことや良いことを交互に考え、思考の反復横跳びのようなことを繰り返してしまい、結果、考えることに疲れ果てています。

ネガティブな予想はネガティブな予想として、ポジティブな予想はポジティブな予想として、想定に幅を持って考えます。

ポジティブとネガティブの中間くらいの想定をする

想定に幅ができたら、そのちょうど真ん中だと何が起きるかも想定します。
それは、実際に起こるのは最善でも最悪でもなく、その真ん中くらいのことが多いからです。

最善ベストになるにも強運が要るように、最悪ワーストになるにもまた並外れた悪運が要ります
現実にはそのどちらもなく、正規分布曲線のように、凡庸に終わるものです。

実際にどうなったかを振り返る

最悪の想定、最善の想定、現実的な想定の3つを考えたら、最後に実際どうなったかを確認します。
多くの場合、ネガティブな結末を予想しても「実際どうなったか」を確認せず、その予想が当たったのか外れたのか、外れたとしたら次どう考えれば当たるのかというような感想戦をしないまま過ごしていってしまいがちです。

きちんと振り返りを行わないと、またちょっとしたきっかけで当たらないネガティブ予想を思い浮かべ、不安や抑うつに囚われ、へとへとに疲労してしまうことになりかねません。
感想戦・振り返りを行うことで、「最悪の事態にならなくて良かった」という実感を確認することにもなりますし、想定の精度をより高めることにも繋がります。

想定の範囲を持つことの例

初期研修後、部署に配属される予定の人のケースを見てみましょう。

ネガティブな事態をできる限り想定する

最悪の事態としては、同期が一人もおらず、近しい年齢の同僚もいないことが考えられます。
かつて部活で厳しかった顧問のように、何かあると不機嫌になったり、言葉遣いが荒くなったりするような人が上司につくかもしれません。

他の同僚は3人くらいしかおらず、業務中は会話もなく、息苦しさを感じる可能性もあります。
そこで失敗したら、上司からは叱られ、同僚はただ見ているだけで何の声かけもなく、悲しくなって出社困難になってしまうでしょう。

これが、最悪の事態の想定です。

ポジティブな事態をできる限り想定する

最善の状況としては、厳しくも優しい上司の下につき、同期も大勢いて打ち解けることができ、業務中のみならず業務外でも仲良くなれることが想定されます。
言われたことを忠実に遂行する仕事ぶりが評価され、表彰されたり、賞与が多めにもらえたりするかもしれません。

ポジティブとネガティブの中間くらいの想定をする

実際にはこの一部が起こり、また一部は起こらないことがほとんどです。

しかし、ネガティブシンキングになりやすい人は、最悪の事態の方ばかり起こると考え、まだ起きていないにもかかわらず、気分が落ち込んだり、体調を崩したりしてしまいがちです。
悪いことばかり起こることは、サイコロを6回振って6回とも1が出るような確率であるにもかかわらず、です。

想定に幅を持つようにし、ネガティブな思考に囚われにくくなろう

想定や想像をしないということはできず、想像しないようにしようという努力もまた徒労に終わりやすいものです。
想定するならいっそ的確な想定をし、余計な不安や心配をしなくなることが、人生の質を高めるには有用でしょう。

現実の場面では、想定するときの体調、直前に起きた出来事、時間的余裕や金銭的余裕などによって、想定がネガティブな方に歪曲することも多くあります。
精神状態を整えながらより前向きに想定について考察したい場合には、カウンセラーと一緒に検討することが有効です。

不安や心配に囚われやすい方、第三者からの視点を交えて幅を持った想定をしたい方は、ぜひ一度当オフィスにご相談ください。

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