仕事ができると、注目を得られ、承認欲求も満たしやすくなります。
できないままでも充実していれば心は病みませんが、「こうすれば承認欲求も満たされるはず!」と対策しても、できるようにならないことに取り組んだところで何のケアにも癒しにもなりません。
できる人とできない人は何が違うのか、努力や才能とは違う角度から説明してみます。
仕事ができるのは追随する人
街中で無料PCR検査を見かけるようになってから、しばらく経ちます。
あれは国や自治体から補助金が出ており、その収益で家賃や人件費をまかなっているのです。
では、その運営元は新型コロナウイルスに詳しかったり、以前からPCR検査に精通していたりするのでしょうか。
そんなことは全くなく、むしろキャッシュ(収入)とフロー(支出)をシビアに計算し、採算が取れそうだからと参入してきたところが大半です。
こういった、「以前から感染症に詳しかったりPCR検査を用いたりしていた人」を第一人者、「採算が取れそうだからと参入してきた人」を追随する人とします。
もう予想がついているかもしれませんが、仕事ができるのはこの追随する人の方です。
第一人者の動機はビジネスでの成功ではない
新型コロナの流行前から感染症対策に精通していた人、ウイルスの防疫に尽力していた人は、それが儲けになるからとか、利益が見込まれるから取り組んでいたわけではありません。
内発的動機づけといって、自分の興味関心があったから、使命感に駆られたからといった理由で取り組んでいます。
嚙み砕いていえば、やりたくてやっていたわけです。
やりたくてやっていたのですから、ビジネスのことや採算のことは相対的に興味はありませんし、経営や運営のことにも関心がありません。
そちらにも関心がある人は、専門分野の方では第一人者にはなれませんので、専門だけしか興味のない人より相対的に少ない知識量と熱量になります。
追随する人はビジネスしたくてビジネスをしている
追随してくる人、後から参入してくる人というのは、第一人者になりたくて追随してくるのではありません。
儲けられそうだから、うまくやれそうだから、つまりはビジネスになりそうだから入ってくるのであって、ビジネスになりそうもならなければドライに去ります。
追随する人にも2種類います。
流行直後に参入してくる人と、情勢を見極めてから参入してくる人です。
仕事ができる人は前者です。
情勢が定まった頃には、前者が市場を席巻し、後者の入る余地はなくなりつつあるからです。後者はあまり失敗しませんが、大きな成功もしません。
後者が1つ動く間に、前者は3,4つ動き終えているからです。
後者が「あまり」失敗しないだけで、「全く」失敗しないわけでもないところが落とし穴です。
流行への評価が定まりつつあるときに参入してくるところは大量のリソースを注ぎ込みがちです。
多くの資金、多くの人員、多くの時間を費やしてうまくいけばまだいいですが、流行が収束したらそれらは多くの負債となります。
リソースが多ければ成功する、というわけではないのがビジネスです。
追随した人が成功した例
PCR検査所以外にも例には枚挙に暇ありませんが、ガラッと趣を変え、地上波放送アニメの例をみてみましょう。
事前情報から押さえ、第一話から視聴する人が第一人者です。
原作があれば、そのファンが第一人者になります。
2022年現在、1クール(3ヵ月)ごとに50本前後の新作アニメがあり、どれが流行するか(覇権アニメになるか)は、運です。
2,3週放送されたところで、およそどのアニメが流行っているか、話題になっているかが判明します。
この時点から視聴を開始するのが追随する人です。
知識は当然第一人者には遠く及びませんが、知らないことは第一人者に聞き、人との話題には事欠かず、毎週待ち望む楽しみとライブ感を満喫できます。
これのできる人が、ビジネスのできる人です。
「第一話を見逃したから」と考えたり、「来期こそは第一人者になろう」と決めたりしている人が、様子見する人です。
この人たちもまた第一人者と同じく自身の内的動機(心の底から楽しみたい)を大切にしているわけですが、評価が確定するまで待たねばならないフラストレーションが溜まりますし、外野からは自分の「こだわり」によって苦しんでいるように見えるので、楽しめているかというと一長一短のようです。
次のような事例でも、同様の現象が確認されます。
以上の例から、仕事できない人の特徴を3つにまとめました。
1つは、知識が全てと思っている人です。
知識量はマウンティングには役立つかもしれませんが、それと仕事ができること・ビジネスが成功することとはほぼ無関係です。
2つ目は、情報のアンテナを張っていない人です。
競合の動向、市場の動き、世間の話題。そういったもの全てに反応する必要はなく、ただ情報を仕入れておかないとできる人になることは難しいでしょう。
3つ目は、仕切り直しを期待する人です。
仕切り直したからといって次の機会があったり、第一人者になれたりするかは完全に運です。
地上波アニメの例でも50本前後の選択肢があるわけですから、ビジネスで考えたら何万何十万の候補の中から、つぎ流行する物や人を的中させることはまず不可能です。
仕切り直しを待つより、今あるチャンスに向かって動いてしまいましょう。
後の先を意識した仕事術
剣術では、相手の手を見てからカウンターを入れることを後の先といいます。
同じく、先に手を繰り出すことを先の先、動作が終わってから動くことを後の後といいます。
今回取り上げた追随する人は、まさにこの後の先を繰り出す人のことと言えるでしょう。
仕事で成果に結びついていない人は、後の先を意識し、最速の後の先を取れるよう、意識してみてください。
まとめ
仕事のできる人は、ある分野での第一人者を目指すのではなく、流行や世相を受けてそれに追随します。
追随して参入することは知識量ではトップに立てませんが、ビジネスに疎い第一人者を出し抜ける可能性があり、様子見している人より成果を上げられる確率が高くなります。
一方、仕事のできない人の特徴としては、①知識量が全てと思っている、②普段から情報のアンテナを張っていない、③仕切り直しを期待しやすい、といったことが挙げられます。
仕事がうまくいかないことでメンタル不調の悪循環に陥っている人は、自分がこのような習性を持っていないか、チェックしてみると良いでしょう。
メンタル不調からくるパフォーマンス低下や思考・行動傾向でお悩みの方は、ぜひ一度当オフィスにご相談ください。
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