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心療内科で治らないのはなぜか -「心療内科に行ってはいけない」と言われる理由と真のメンタル治療-

「心療内科に行ったら終わり。薬漬けにされる」
「何年も通っているのに治らない。薬も増え続けている」
「このまま働かなくていいのか。治療が変わる気配もない」……。

うつなどの気分障害は長期化しやすく、副作用のために何度も薬を変えなければならなかったり、慢性化すると退職せざるを得なかったりします。
通院が長期に渡るのはなぜなのか、根本的な治療のためには何をすればいいのか、最新の心身医学を踏まえながら、臨床心理士が説明します。

最新のメンタル疾患の傾向

9月16日に、2021年までの精神疾患による死者数が更新されました(厚労省調べ)※1
精神疾患の治療中に亡くなる方は、年々増え続けています。

また、「自殺者」は遺書があった者と定義され、遺書がない(けれど自殺したと思われる)者は、原因不明の死者として計数されるようになりました。
2020年の原因不明の死者数は17万にも上り、その半数が自殺者であるとも言われています。

深刻な事態を引き起こすメンタル疾患患者は、増え続けている状況です。

メンタル疾患治療が長期化する原因

では、なぜ精神疾患の治療が長期化してしまうのでしょうか。

そもそも、精神疾患は長期化しやすいことが知られています。
就労者が怪我や病気になったとき、傷病手当金というものが保険組合から支給されますが、この支給期間が最も長いのがメンタル疾患です。

ここでおかしいのが、「精神疾患」と「精神疾患治療」が混同されているところです。
精神疾患が長期化するのは、治療が難しいからでしょう。

では、精神疾患治療が長引くのはおかしいのではないでしょうか。
精神疾患になっても長期化する、治療に取り組んでも長期化する、つまり、治療を受けても受けなくても同じ、になっていないでしょうか。

悲しいことに、精神疾患の標準治療を受けるメリットはほとんどありません。
ただ、治療に取り組んで良くなる人もいれば、治療に取り組んだばかりに悪くなってしまう人もおり、総和として±0、というのがより正しい表現です。
その理由を、治療に取り組んでいる精神科・心療内科が自ら発信している情報から考えていきたいと思います。

「治療の基本は薬物療法」

うつと診断されるとまずプロトコルに沿って薬が処方される

治療が長期化するのは、薬の飲む量や期間が適切でなかったことが考えられます。

精神科・心療内科で治療を開始した場合、95%以上の確率で薬が処方されます。
これは、精神科・心療内科における標準治療がとりあえず・まず薬とされているからです。
薬を処方する、反応を見る、薬の変更か増量をするという標準治療を厚労省が認めている以上、最初に「薬を処方する」のは仕方ないとも言えるでしょう。

問題は、処方と服用の後です。
抗うつ薬や気分安定薬は、最初から効果の出る量の処方はしません。
一気に効果量まで引き上げると副作用や有害事象が起きやすくなり、離脱者が増えてしまうからです。
徐々に増量することと飲み始めてもすぐには効果は出ないので、1年~1年半ほど飲み続けさせることは、製薬会社も推奨している治療手順です。

ここから分かるように、心療内科が薬を飲ませた後に考えるのは、「飲ませ続けること」です。
「充分量飲ませ続けよう、充分期間飲ませ続けよう」は、メンタル治療の原則になっています。
しかし、薬は苦痛を一時的に軽くしてくれるだけなのですから、本来薬を飲み始めた後に取り組むべきは薬なしでも苦痛なく過ごせるようにする取り組みのはずです。

うつの場合、睡眠障害が高頻度で起こります。
薬で気持ちが落ち着き、眠れるようになったら、次は眠気が来るようにする方法や、深く長い睡眠をとれるようにする取り組みについて話すべきです。
不安や落ち込みも同様です。
では、眠気を催す方法や不安を解消する思考法を心療内科で教わった人がどれだけいるかというと、ほとんど聞いたことがありません。

つまり、充分量・充分期間を「目指してしまう」心療内科の治療原則が、長期化の原因と言えます。
薬を飲んでいても、薬なしで過ごすことを念頭に置いて手だてを話し合えれば、苦痛や治療の長期化を防ぐことができます。

「休養は薬物療法と同じくらい大切」

気軽に休養を勧められてもその先が地獄ということも

長期化の原因として、休息や休養が充分でない可能性が考えられる。

薬と並んで日本のメンタル治療の柱が、休養や静養です。
こちらも精神科・心療内科のホームページを見ればどこにでも書いてありますが、ではこの「充分」とは何なのでしょうか。
時間なのか精神的な充足なのか、人と関わるのか関わらないのか、何も記載はないまま「個人差」という言葉で逃げられてしまいます。
長期化する原因のもう一つが、休養についての無理解です。

休養をとろうと休職したとします。
すると、大多数の方は収入が減ります。
傷病手当金の支給を受けても3割は減りますし、残業代を稼げていた人はそれもなくなります。

収入が減ると、健康的な食生活が偏ったものになります。
ご飯と味噌汁、おかず一品よりも、1食80円のカップ焼きそばの方が、ローコストで手軽なのが現代の日本です。

偏った食生活は脳の修復を遅らせたり、腸内環境も偏らせたりするため、落ち込みや不安もそれだけ持続します。
気分症状が続くと体も動かず、「動けないなら働けないね」と休職が延び、しかし収入は少ないままなので、ジリ貧の状態に陥ります。

この悪循環を見て見ぬふりし、「休養をとりましょう」「健康的な食事は摂れてますか」「運動しましょう」と心療内科が連呼しているうちは、メンタル治療の長期化問題は解決しないことでしょう。

この悪循環打開のために当オフィスが用いている手法が、動機づけ面接法と行動活性化療法です。
前者は悪循環(依存)、後者は重度のうつに効果的であるとされていますので、メンタル疾患の方もそうでない方も、お困りであれば一度ご相談いただければと思います。

「入院治療でストレスから一旦離れるのも手」

長期化したうつ病患者には、休養を目的とした入院治療への切り替えも選択肢に入ります。

心療内科の治療説明でよく見られるのが、この「短期-長期」と「軽度-重度」の混同です。
うつの方に入院加療を勧めることはありますが、それは長期化してきているときではなく、重度か最重度の症状が出ているときです。

重症度が高まり、自傷や自殺企図の確率が高まっている方には、ストレッサーから離れ、自分の身を守る目的で入院の選択肢を検討します。
治療が長引いているけれど軽度のうつの方が「治療も長くなってきているので、そろそろ入院を」と言われても、今の生活や活動を一旦停止したくはないでしょうし、費用負担も増えるため、まず断るでしょう。

このことはつまり、重症度は低く、しかし長期化しているようなメンタル疾患の方は「お手上げ」と言っているようなものです。
それを、さも入院も視野に入れて治療しているかのような口ぶりで集患しているせいで、断薬や薬に頼らず生活する方法を考える暇もなくなり、延々と薬物療法を続けることになるのです。

「認知行動療法・電気けいれん療法・経頭蓋磁気刺激療法も効果的」

うつのきっかけとなったストレスを振り返り、ストレス対処と再発防止を目的とした治療法として、認知行動療法が挙げられます。

ホームページで認知行動療法(CBT)を紹介している心療内科は多いですが、その中で実際に認知行動療法をおこなっているところは少なく、更に、医師が認知行動療法を行えるところはほとんどありません。
これは、「ホームページではあくまで精神疾患の治療法を説明したに過ぎず、どこにも『当院で受けられます』との記載がなければ、医療広告違反には当たらない」ことを利用した集患テクニックです。

同じことは、「入院治療」「電気痙攣けいれん療法(ECT)」「経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)」にも言えます。
「実施しています」との記載がなければ、基本的には「実施していない」と考えた方が良いでしょう。

ホームページのインプレッション数を稼ぐため、自院でおこなっている治療の優位性を示すため、他の治療法を引き合いに出して説明することは、悪いことではありません。
ただ、「いつかは認知行動療法を受けられるだろう」と信じて診察を受け続けた結果、薬なしでは生活できない体になり、実は認知行動療法のできる医師も看護師・心理士もいなかったことを知るのは、あまりに哀しいのではないでしょうか。

精神科・心療内科を受診する際には、希望する治療を受けられる病院か、希望していない治療は明確になっているかを、問い合わせなどで確認するのが良いでしょう。

「本当はメンタル疾患ではない可能性」

そもそも本当にうつ病なのか、精神疾患なのかという問題もあります。

うつ状態が引き起こされる疾患には、以下のようなものがあります。

  • 双極性障害(躁うつ病)
  • 気分変調症
  • 適応障害
  • 不安障害
  • 統合失調症
  • 認知症の前駆症状
  • インターフェロン療法による副作用
  • ステロイド剤(プレドニンなど)による副作用
  • 血圧降下薬(アムロジピンなど)による副作用
  • パーソナリティ障害の二次症状
  • 神経発達症(発達障害)の二次症状

不安や落ち込みといった精神症状は誰にでも起きうるものであり、その度合いや日数だけで精神疾患になったと判断することはできません。
例えば、親しい人が亡くなった後に起こる悲しみ(悲嘆反応)は、かつては診断名がついていましたが、現在は正常反応として診断名をつけないことになっています。

治療が長期化した中には、本来別の疾患なのにもかかわらず、精神疾患と診断して治療したがために、状態をこじらせたり、治療すべきところが手つかずの状態で放置されたりしてしまうケースもあります。
光トポグラフィー検査、顔の色彩判断、血中PEA濃度測定など、うつを診断するための研究はかなり進んできていますが、未だ確立まではしていないのが現状です。

最新のメンタル治療 -ソマティック心理療法-

本来、心療内科は心身医学の実践の場でした。
心身医学とは、「こころ」と「からだ」は相関するものと見做みなし、その両面からアプローチすることで心身ともに健康な状態に近づけることを目指す分野です。

元は東洋医学を基盤としていましたが、ドイツ医学やアメリカにおける精神療法の治療哲学が入った結果、「からだ」へのアプローチよりも「対話」や「語り」といった「こころ」へのアプローチが主流となりました。

ソマティック心理療法は、「からだ」への働きかけを重視し、身体の状態に注意を向けたり、身体的な症状やその変化を観察したりすることで、「こころ」の安定性を取り戻していくという心理療法です。
ソマティック(somatic)とは、肉体、身体、「からだ」という意味です。

例えば、空腹になったり、同じ姿勢を続けて足が痺れたりしたときのことを想像してみてください。
眠気が強かったり、体が火照ったように熱かったりするときでも構いません。
このとき、平時の・正常なときと全く同じ思考や行動をとれるという人はほとんどいないと思います。
足が痺れているときには近くの人に「近づかないで!」と過敏になるかもしれませんし、眠気を催しているときに怒りっぽくなった経験がある人もいるかもしれません。

「対話」や「語り」による心理的アプローチは、こういった「からだ」の状態に無関心か、もしくは「からだ」を安定させる手法を持ち合わせていませんでした。そこで、まず基盤たる「からだ」を安定させ、自由でいきいきとした思考や行動がとれるようにするところから治療していくことを目指しているのが、ソマティック心理療法です。

この観点から、メンタル治療が長期化する原因が2つ明らかとなります。
1つは、身体的・神経学的・生理的な安定性を確立させることができないまま、感情や認知といった精神的な変化に取り組んでしまっているケースです。
先の例でいえば、空腹のときに「人にやさしく」という思考になろうとしても難しい、ということです。空腹の人はまず満腹に、眠気の強い人はまず寝てから加療するように、まず「からだ」へのアプローチからおこなった方がいいケースが相当数存在します。

もう1つは、「からだ」についての知識が乏しかったり、相手の状態に無関心だったりする人が治療に携わっているケースです。
臨床心理学には「心理教育」といって、病気に対する知識を相談者本人が身につけることで症状を緩和させていく方法がありますが、なぜその症状が体のその場所に表れているのか、治療者が分かっていなければ相談者に教えることはできません。

心療内科の医師や心理士はストレスの専門家であることが求められているのに、そのストレスがどうやって体の症状として表れるのか、同じストレスがかかっていても体に表れていない人とは何が違うのか、説明できない治療者は想像以上に多いものです。
精神的な話題にしか興味がないような、こだわりの強い治療者の下では治療は長期化すると思った方が良いでしょう。

当オフィスでは、ソマティック心理療法の一つであるブレインスポッティング(BSP)を用い、トラウマ治療や適応障害治療に取り組んでいます。
また、同じくソマティック心理療法の一つであるソマティック・エクスペリエンシングの技法も取り入れ、適切に「からだ」へのアプローチを行うことで早期治療を実現しています。

心身両面にお困りごとのある方は、ぜひ一度ご相談ください。

※1 人口動態調査 結果の概要|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html

https://amzn.to/3r4Iw8u

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